神様修行はじめます! 其の四
しま子でも通れそうなほどの大きな穴が、壁にポカリと口を広げている。
「んまあ、見事な仕掛け扉ですこと!」
お岩さんが目を輝かせ、弾んだ声でつぶやいた。
「常世島でも、仕掛け扉は一般的ですの!?」
「いや、こんなの初めて見た」
浄火は驚いて目を見張っている。
長は慣れた様子で、穴の奥の闇に紛れるようにスッと消えていった。
「あ、あれ? 長さん、中に入っていっちゃったよ?」
「この奥には何がありますの?」
「だから、この奥がある事すら知らなかったんだってオレは」
「すぐに戻って来るのだろうか?」
「どこに行ったかすら分かんねえんだから、戻って来る保証もねえよ」
「・・・・・・・・・・・・」
全員、顔を見合わせてうなづき合った。
仕方ない。あたし達もこの奥へ行こう。
『関係者以外、立ち入り禁止』っぽい匂いがビシバシしてるけど。
のんびり待ちぼうけ食らってる余裕はないんだもん。
行ってみたら意外と、実はただの露天風呂でしたー、とかね。
怒られたら素直に謝りゃいいや。そん時は浄火に矢面に立ってもらおう。