神様修行はじめます! 其の四
「彼女は僕に忠誠を誓ってくれた。僕はその言葉を、心底から信頼している」
息を吹き返すように、あたしの心臓がトクントクンと鳴り響く。
我慢していた涙が、こらえきれずにジワッと滲みだした。
・・・嬉しくて。
「僕にはこれまで通り、彼女が必要だ。手放す事はできない」
あぁ・・・・・・!
堂々と言い切る彼の言葉に、歓喜が胸いっぱいに膨れ上がった。
彼の姿がこれまで以上に輝いて見える。
まさかそんな風に言ってもらえるなんて、夢にも思わなかった!
喜びと興奮で今にも息が止まりそう!
門川君! 嬉しい! ありがとう・・・!
「ご安心くださいませ。当主様」
因業ババの声。
せっかくの感動を断ち切るようなその声に、あたしは再び不安を感じた。
「この娘が当主様の前からいなくなってしまうわけでは、ございませぬゆえ」
・・・? それ、どういう意味?
あたしは眉間に、因業ババのカラスの小ジワに負けないほど、深いシワを寄せた。
ババの優しげな微笑みに、門川君も不審そうに問いかける。
「それはどういう意味だ?」
「たとえ婚礼をあげても、天内の娘にはこれまで通り、当主様の端女(はしため)を務めさせまする」
・・・・・・・・・・・・は?