神様修行はじめます! 其の四
「つまり、何も変わりませぬ。この娘は、ずっと当主さまのおそばにおります。変わることと言えば・・・」
ババが、さらにニコリと微笑んだ。
「天内の娘が、人の妻になるだけでございます」
・・・そこが一番問題なんだろーがぁあ!
悪びれもせずそう言うババに向かって、あたしは心の中で思いっ切り突っ込んだ。
あまりのシャアシャアとした態度に、目まいがする。
それってつまり、あたしを他の男と結婚させておきながら・・・
門川君のそばに、いろってこと?
好きでもない男のものにされてしまった身で、ずっと門川君の隣にいろと?
そう言ってるの? あたしの彼への想いを知りながら?
・・・呆れて物も言えないって、こういうことだ。
このババ、ホントに女?
ほんのわずかでも、女性としての感情が残っていたら、そんなこと考えられないはず。
女性ホルモンが分泌異常おこしてるんじゃないの?
少し前に、ポテチ欲しさに『赤ちゃんやめました』ってCMがあったけど。
ババは権力欲しさに、女と人間やめちゃったんだ。
限りなく果てしなく、最低な生物だ・・・。
眉間を指先で押さえながら、大きく息を吐き出すあたしの耳に・・・
「天内君は変わらずに僕のそばに居る、というのか?」
・・・・・・門川君?
あたしは指のすき間から、彼の顔を見た。
門川君は感情の読めない表情で、ババと会話を続ける。
「この縁談が決まっても、僕が彼女を失うことは、ないということか?」
「はい。その通りにございます。当主様」