神様修行はじめます! 其の四
受ける代償
知っての通り、この島は本来、人の住むべき場所ではない。
そこに閉じ込められた島民たちの生活は、悲惨だった。
ケガや病に倒れても、薬もなければ治癒能力を持つ者もいない。
たかが風邪ひとつで、人々は呆気ないほどバタバタと死んでいった。
そんなある日・・・・・・
あの女が島に流されてきた。
信子が。
腹に子を宿したあの女が、この島へと流されてきたのだ。
「お腹に赤ちゃん!? 因業ババ、妊娠してたの!?」
あたしは驚いてお岩さんに聞いた。
でもお岩さんは、沈痛な表情で首を横に振る。
「いいえ。もしお腹に赤ちゃんがいたなら、権田原の民は絶対に彼女を行かせたりしませんわ」
「でも妊娠してたんでしょ?」
「里を出てから、島へ渡る前に起こった出来事なのでしょうね」
「・・・あっ!」
あたしはマロさんを振り返った。
そうだ。そういえばマロさんから聞いたっけ。
『どうせ島流しにされる女だからと、無理やり手を出すヒドい男がいる。
その結果、望まぬ子を身ごもってしまう場合がある』