神様修行はじめます! 其の四
門川君に向かって深く同意しながら、ババは同じ言葉を繰り返す。
「天内の娘は、いつまでも当主様のおそばに・・・・・・」
「その言葉に偽りは無いと、この正式な場で、僕に誓えるか?」
「無論にございます」
「ふむ・・・・・・」
ね、ねぇ、なんか話の方向が・・・
おかしな雲行きになってきていない・・・?
口元に手を当て何かを考え込む表情の門川君を、あたしは不安な気持ちで見つめた。
絹糸とセバスチャンさんが因業ババを見ながら、小さく舌打ちする。
セバスチャンさんの、低いボソリとしたつぶやきが聞こえた。
「うまくハメやがったな・・・」
ハメた? それってどういうこと?
あたしの心は、ますます不安に陥った。
「天内君」
「は、はいっ」
門川君に名前を呼ばれて、あたしは反射的に彼の方を見た。
彼は真っ直ぐ、無表情にあたしを見ている。
それが何となく不安で、あたしは彼の目を直視するとこができずに、その唇を見ていた。
ドクドクと不安に怯える心臓の音を聞きながら。
「天内君、無理強いはしない、という前提での話なのだが・・・・・・」
―― ドクン ドクン ドクン・・・
「この縁談は、非常に有意義であると思う。君、考えてみる気はないか?」
―― ・・・ドッグン!!
心臓に、刃物を突き立てられたような痛みが走った。