神様修行はじめます! 其の四

門川君に向かって深く同意しながら、ババは同じ言葉を繰り返す。


「天内の娘は、いつまでも当主様のおそばに・・・・・・」


「その言葉に偽りは無いと、この正式な場で、僕に誓えるか?」


「無論にございます」


「ふむ・・・・・・」



ね、ねぇ、なんか話の方向が・・・


おかしな雲行きになってきていない・・・?



口元に手を当て何かを考え込む表情の門川君を、あたしは不安な気持ちで見つめた。


絹糸とセバスチャンさんが因業ババを見ながら、小さく舌打ちする。


セバスチャンさんの、低いボソリとしたつぶやきが聞こえた。


「うまくハメやがったな・・・」


ハメた? それってどういうこと?


あたしの心は、ますます不安に陥った。



「天内君」

「は、はいっ」


門川君に名前を呼ばれて、あたしは反射的に彼の方を見た。


彼は真っ直ぐ、無表情にあたしを見ている。


それが何となく不安で、あたしは彼の目を直視するとこができずに、その唇を見ていた。


ドクドクと不安に怯える心臓の音を聞きながら。


「天内君、無理強いはしない、という前提での話なのだが・・・・・・」


―― ドクン ドクン ドクン・・・


「この縁談は、非常に有意義であると思う。君、考えてみる気はないか?」


―― ・・・ドッグン!!


心臓に、刃物を突き立てられたような痛みが走った。

< 45 / 697 >

この作品をシェア

pagetop