神様修行はじめます! 其の四

冷酷なほど彼の声は淡々としていた。


門川君は状況が切迫すればするほど、態度も口調も冷静になる。


戦場では、動揺や混乱は致命傷になるから。


感情を抑える事によって、彼はこれまで仲間を守り、自身も生き延びてきた。


でもそれを知らない浄火とっては、彼の言葉はただの氷の刃。


浄火はコブシを振り上げ、思い切り門川君の頬を殴りつけた。


「きゃあ!?」

「門川君!」

「うああぁー!?」


なおも門川君に殴りかかろうとする浄火を、しま子が抑えた。


あたしはふたりの間に割り込みながら叫ぶ。


「やめて浄火! なにするのよ!」


門川君は口元を腕で拭いながら、ずれたメガネを落ち着いた様子で直している。


それを睨む浄火は、今にもまた殴りかかりそうな形相だった。


「今はケンカなんかしてる場合じゃないよ!」


浄火の気持ちは、痛いほど分かるよ。


自分のせいで仲間に迷惑かけるって、本当に辛いから。


今までさんざっぱら仲間に迷惑かけ通しのあたしには、よく理解できる。


でもホントに今は仲間割れなんかしてる場合じゃないって!

< 459 / 697 >

この作品をシェア

pagetop