神様修行はじめます! 其の四
冷酷なほど彼の声は淡々としていた。
門川君は状況が切迫すればするほど、態度も口調も冷静になる。
戦場では、動揺や混乱は致命傷になるから。
感情を抑える事によって、彼はこれまで仲間を守り、自身も生き延びてきた。
でもそれを知らない浄火とっては、彼の言葉はただの氷の刃。
浄火はコブシを振り上げ、思い切り門川君の頬を殴りつけた。
「きゃあ!?」
「門川君!」
「うああぁー!?」
なおも門川君に殴りかかろうとする浄火を、しま子が抑えた。
あたしはふたりの間に割り込みながら叫ぶ。
「やめて浄火! なにするのよ!」
門川君は口元を腕で拭いながら、ずれたメガネを落ち着いた様子で直している。
それを睨む浄火は、今にもまた殴りかかりそうな形相だった。
「今はケンカなんかしてる場合じゃないよ!」
浄火の気持ちは、痛いほど分かるよ。
自分のせいで仲間に迷惑かけるって、本当に辛いから。
今までさんざっぱら仲間に迷惑かけ通しのあたしには、よく理解できる。
でもホントに今は仲間割れなんかしてる場合じゃないって!