神様修行はじめます! 其の四

もはや、悲鳴すらも上げられず。


人智を超えた苦しみに襲われた子独楽は、悶絶する。


口からは、白い泡と真っ赤な血が同時にダラダラ流れた。


断末魔。

惨痛、惨苦。

七転八倒。


この世の苦痛の、その全てを一身に受け・・・。


『死ぬぞ? ほうれ、見よ。死ぬぞ?』


父親は薄目で、信子を見下しながら繰り返す。


『よいのか? お前のせいで、娘は苦しみながら死ぬのだぞ?』


信子は狂女のように髪を振り乱し、金切り声を上げ続ける。


父親は信子の狂乱など気にもとめず、手に持ったツボを振り、残量を確かめた。


『ふうむ、あと一回分、といったところかの?』


そしてチラリと、子独楽に視線を向けた。


『ちょうど、それで限界であろうな』


『・・・うああぁ、嫌ぅあぁーーーーー!』


嗚咽と混乱で、まともな言葉にならない。


それでも信子は叫び、全身全霊で訴えた。


『なぜ!? なぜ私たちが、こんな目に遭わなければならないの!?』


砂場に崩れ、泣き狂う。


両のコブシが砕けるほどに、地を何度も殴りつけた。


そしてノドが裂けるほど叫び散らす。


『なぜ!? なぜ!? ・・・なぜ!?』


神の一族の力を持たぬというだけで、なぜ!?


『・・・・・・なぜだと?』


父親は、鼻からフンッと息を漏らして答えた。


『お前たちがゴミだからだ』

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