神様修行はじめます! 其の四
「お、お待ちくだしゃりませ。当主様」
マロさんの慌てた声が聞こえた。
「里緒殿は、若い身におじゃりまする。婚姻は、いささか早いかと存じまする」
「我が当主の言う通りでございます。里緒は、あちらの世界ではまだ教育を受ける身です」
マロさんと塔子さんが、揃って反論してくれる。
でも長老たちがそれをバッサリ切り捨てた。
「どこが早いものか。もう子を産める年であろう」
「身を固め、子を成し育てることが、おなごとして生まれた者の唯一の務め」
「教育だと? おなごが知恵を付けるなど無意味。それはあやまちの元だ」
「全くだ。おなごが小賢しくなる必要は無い。女とは子を産み、育ててさえいれば良いのだ」
塔子さんとお岩さんの頬がピクリと引きつった。
それでもグッとこらえ、塔子さんはさらにあたしを庇おうとする。
「いえ、ですが・・・」
「おやおや、端境の一族は、さぞや女性の地位がお高いらしい」
「なにしろ当主会議に、奥方を同伴させるぐらいですからな」
「無理もない。これまで当主会議など、端境の当主殿は出席したこともないのですからな」
「おお、慣れぬ夫の手助けか。いやいや、これぞ奥方の鑑だ」
ハハハハハ・・・・・・。
大広間中に、失笑があふれた。
マロさんはグッと唇を結び、塔子さんのこめかみにモリモリと青筋が立つ。