神様修行はじめます! 其の四
「蛟(みずち)一族の当主と、信子長老とは、本当の意味での同盟は結んでいないわけだな」
門川君の言葉に、あたしは首を傾げた。
「みずち一族ってなに?」
「子作りマシーン一族の名称じゃよ」
「あ、そうなんだ。そんなマトモな名前があったんだ」
長さんが汚らわしそうに答える。
「あんな男と同盟など結ぶものか。信子は密かに、裏で独自の計画を実行している」
「・・・それは由々しき事態だな」
ますます門川君は深刻な顔になった。
子作りマシーンはまず、あたしの能力を奪って、あたしと門川君を引き離す。
権田原にも手を回して、動きを抑え込む。
それを足掛かりに、門川君を失脚させるのが目的なんだろう。
けど、ババの真の目的は違う。
ババは島の人たちに異形を寄生させて、各一族にじゃんじゃん送り込むつもりだ。
なんせ奇跡の能力者。一族たちは当主みずから対応しなきゃならない。
一族たちは、当主レベルから率先して次々と力を失い・・・。
あっという間に滅びてしまう。
ババは、あちら側とこちら側の力関係を、ひっくり返そうとしているんだ。
その気持ちも理解できるけど・・・・・・
それは見過ごせない。
だって数千年もの間、異形と戦って世界を守り続けてきた神の一族たち。
それが全部滅んでしまったら、大変なことになる。