神様修行はじめます! 其の四

・・・・・・だめだめ! 自分の弱気に飲まれちゃだめなんだ!


酒は飲んでも飲まれるな! だよね!? うんうん!


「浄火君」


重ねて名前を呼ばれて、ようやく浄火は気が付いたように振り向いた。


「村まで案内を頼む。急いでくれ」


「・・・・・・ああ・・・」


「だから、急げと言ってるだろう! 走れ!」


門川君に促されてやっと浄火が走り出す。


皆がその後に続いた。


しま子に抱えられた長さんは、もうすっかり観念しているみたいで。


なんだか今は、普通のどこにでもいる小柄なおばあちゃんにしか見えない。


マロさんもお岩さんも、複雑な表情で黙りこくって走っている。


門川君はいつも通りの無表情だけど。


でも目の奥を見れば、必死にこれからの対策を考えているのが伝わってきた。


たぶん、あたしを救うための方法も・・・。


世界の危機と、それぞれの心配事。


緊張と不安を抱え、あたし達はせわしなく走り続けた。


重苦しい沈黙が気づまりで、あたしは息を切らしながら長さんに話しかける。


「異形の泉は、あの一か所だけなんですか?」


「・・・いや。この一帯のあちこちに点在している」


この島は飲み水の確保も大変らしいし。


昔、水を探していた島民が偶然、ここで泉のひとつを見つけたんだろう。


知らずに飲んで、干からびて死ぬ者が続出した。


封印の言い伝えは、きっとその教訓からなんだ。


・・・できれば 『これ飲むな』 だけじゃなくて、詳しい説明も残して欲しかったよ。


事情を明記した、立て看板とかさ。


なんでこの手の言い伝えって、一番ミソの部分が必ず抜け落ちてるわけ?


そこを伝えなきゃ意味ないじゃん!

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