神様修行はじめます! 其の四

それでもあたしは真実を言わなければならない。


言わないまま、笑ってごまかしていい問題じゃない。


それは一番、しちゃいけない事だ。


「あたし、門川君の事が、好きなの」


勇気をふりしぼって、浄火の顔を見ながら正直に答えた。


情けないほど小さな声で。


浄火の顔色がサッと変わって、目が失意の色に染まる。


まるで心無い言葉を投げかけられて傷付いたような、そんな目。


あまりの痛々しさに、あたしは再び視線をそらした。


また・・・・・・ふたりの間に重苦しい沈黙が流れる。


聞こえるのは、闇に紛れた胸のざわめきと、不安定な呼吸の音。


―― トクン・・・トクン・・・・・・


「・・・それでも・・・・・・」


浄火の声が、沈黙を破った。


「それを知ってもオレ・・・里緒が好きだ」


―― トクン


あたしは眉を寄せ、目を閉じ、その言葉に責めたてられる。


・・・・・・知ってる。


たとえ事実を突き付けられても、誰かを思う気持ちは簡単には消せない。


それをあたしは、知っているんだよ。浄火。


「諦めきれない。諦められない。あいつにお前を渡したくない」


悪あがきと呼ぶには、あまりに純粋な心。


それを浄火は、受け入れられないあたしに向かってぶつけてくる。

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