神様修行はじめます! 其の四

「お前がオレのそばから離れたらオレ、死んじまうんだぜ?」


「・・・・・・・・・・・・」


「それでもお前は、オレじゃなくてあいつを選ぶのか?」


目の周りと鼻の頭が、ひどく熱く感じる。


たぶん今、あたしの目と鼻は真っ赤になってると思う。


涙がボロボロ頬を伝って、でも、それを拭く気にもなれなかった。


残酷な言葉。


理不尽で、無慈悲な言葉。


なのに浄火を恨む気持ちも、憎む気持ちもまるで起こらない。


「どんな卑怯者に成り下がっても構わない。それでも里緒が欲しい」


こんな


こんな哀しい事を言う人。


あたしがそばにいなければ、命が絶えてしまう人。


それでも、あたしは


・・・・・・・・・・・・。



愛せ、ない・・・・・・。



「好きだ・・・里緒」


身を震わし、涙を流すあたしに浄火は想いを伝える。


『好き』という言葉を、至上の苦痛のように吐き出しながら。


彼は、あたしの頬に手を伸ばす。


その結果を知りながら、近付いてくる指に、あたしは身動きも拒絶もできない。


そして彼の指先が、あたしの頬に触・・・


「さわるな」


・・・・・・!?


「彼女に指一本でも触れる事は、僕が決して許さない」


弾かれたように、あたしと浄火はその声に振り向いた。

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