神様修行はじめます! 其の四
薄闇の中に浮かび上がるような、白い羽織姿。
少し離れた場所に立つ門川君の姿を見て、あたしの胸は高鳴った。
(門川君!)
声をあげそうになり、我に返ってグッとこらえる。
そして焦りながら浄火の様子を覗き見た。
浄火はカタキに会ったような厳しい表情で、門川君を睨みつけている。
・・・タイミングが悪すぎる。
今この状況で、門川君と浄火がニアミスするのは絶対にまずい。
「か、門川君、上の様子はどうなったの? 金太郎は?」
ふたりが言い争いを始める前に、あたしは話題を振った。
「彼は相変わらず錯乱している。とりあえず絹糸に対処を任せた」
そう言って門川君は、あたしに向かって手を差し伸べる。
「早く戻ろう。おいで、天内君」
「うん。さあ浄火、急いでみんなの所に戻らなきゃ! 大変だよ!」
『とりあえず今は、片付けなきゃならない問題があるよね?』
と、さり気なくアピールして浄火を促した。
浄火が素直に歩き出すのを見て、ホッとしたのもつかの間・・・。
あたしを自分の背後に隠すようにして、彼は目の前に立ちはだかった。
「・・・・・・・・・・・・」
門川君と浄火が、向かい合う。
炎と氷の視線が絡み合い、火花を散らした。