神様修行はじめます! 其の四
「ち、違う!」
「いいや、違わない」
メガネの奥の氷のように透明な目が、否応も無く人の心を曝け出す。
容赦なく、弱さを剥き出しにさせる。
「甘美な言葉で事実を隠し、憐憫を誘うな。見苦しい」
「・・・・・・!」
「君は本来、そういった事をする人間ではないだろうに」
浄火は強張った表情で唇を震わせた。
急所を突かれた獣が、必死に自分の傷を隠そうとするように。
でも隠しきれない動揺が視線を泳がせ、フラフラと彷徨っている。
「お、お前にとって里緒は、ただの従者なんだろ!?」
追い詰められたネズミのように、まさに噛みつくような勢いで浄火は叫んだ。
「だたの従者としか見ていないなら・・・里緒をオレに寄こせ!」
「断る」
今にも凍り付きそうな冷酷な声で、門川君は即答した。
ぞくりと冷えた鋭い空気が、彼の周囲から漂い始める。
その両目は、色を失うかと思うほどに寒々しく光っていた。
思いもよらずに垣間見た彼の迫力に、浄火が息を飲む。
「ただの従者だと? ・・・僕が人を従者と称する事が、どれほどの意味を持っているのか知っているのか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「天内君こそ、僕の唯一無二。この全宇宙で他に並ぶべくも無い、永劫の片羽だ」