神様修行はじめます! 其の四
深層の暴走
柔らかさと、体温。それと僅かな湿度。
唇に感じたのは、そんな感触だった。
でも・・・それ以外の認識はできなかった。
自分の唇に押し付けられる物が何なのか。
唇をふさがれるこの行為が、何を意味するのか。
だって、頭の中は果てなく真っ白で。
そして奇妙なほど生ぬるい、浄火の荒い息が不可解過ぎて。
だから何も・・・分からない。
(門川・・・くん・・・)
門川君、門川君、門川君・・・・・・。
唇をふさがれたまま、あたしの体はガチガチで指一本動かない。
だけど、視線は無意識に彼を探し求める。
そしてあたしの目は、彼の姿を見つけ出した。
ポカンと口を開いて、目を丸くして呆然と立ちすくむ姿を。
きっと彼は驚愕しながらも、この状況が何であるのか理解していない。
自分自身が何に衝撃を受けているのか、分からない。
分からないのに、彼は。
あたしと浄火の姿を凍り付く様に、引き攣った顔で凝視していた。