神様修行はじめます! 其の四

地面、壁、天井。見渡す限り視界の全てが、分厚い氷で覆い尽くされている。


一瞬で永久凍土の洞窟にでもワープしたみたい。


吐き出す息も真っ白に煙る。


寒さで体中の筋肉がギュッと硬直して、口の中はカサカサになった。


足元が地震のように大きく上下に揺れ、体のバランスが崩れる。


振動に耐えられず、浄火とふたり揃ってドスンと尻もちをついてしまった。


―― ビシッ!


目の前ほんの数センチを、何かが目にも止まらぬスピードで横切った。


ヒュッと息を飲み、瞬きをしながらアゴを引く。


―― ビシッ! ビシッ!


矢継ぎ早にあちこちから、何かがすごいスピードで伸びてくる。


これは氷柱だ!


細くて鋭い、まるで槍のような氷柱が、春先のタケノコみたいに縦横無尽に生えてくる!


(これに刺さったら、死ぬ!)


すぐ背後から氷柱の気配を感じ、ゾクっと寒気が走った。


とっさに前のめりになったあたしの頭上ギリギリを、切っ先が伸びていく。


串刺しを逃れたと思った途端、横から伸びてきた氷柱の先端が頬をかすめた。


ビッと痛みが走り、切れた箇所から血が流れる。


(痛・・・!)


この状態、見覚えがある。


以前に門川の聖域で狐面に襲われた時、門川君が発動した大技とソックリ。


じゃあこれってやっぱり門川君がやってるの!?

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