神様修行はじめます! 其の四
常世の女たち
―― ポリポリ、バリン、ズズー・・・
あたしの私室に、集団で天ぷらそばを啜る音が充満している。
それとお岩さんが持ってきた、たくあんの漬け物を齧る音が。
あたし達は仲間のみんなで、机を囲んでお昼ごはんの天ぷらソバを食べていた。
あの後・・・
あたしは、ひとしきり大泣きした。
泣いても泣いても、どれだけ涙を流しても、まったく気は晴れなかったけど。
ついに涙も枯れて、疲れて放心しているあたしに、絹糸が話しかけた。
「ほれ小娘、部屋へ戻って昼めしを食うぞ」
そこで仲間たちは全員、ひとまずあたしの部屋へ集まる事になった。
「許せ、小娘よ。我の手落ちじゃ」
絹糸が小さく息を吐く。
「永久の結婚話にばかり神経をとがらせておったが、信子に裏をかかれたわ」
絹糸はそう言って悔しがるけど、それは無理も無い。
だって本来なら、毛嫌いされてるあたしに縁談なんか、くるはずもなかったんだから。
浄火の出現は、当主たちにとっても大歓迎だったろう。
門川君からあたしを引き離す絶好の理由になるから。
「里緒・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「里緒」
「・・・・・・・・・・・・」
「いい加減、体育座りしながら爪でカリカリ壁を引っ掻くの、やめてくれない? こっちの気が滅入るんだけど!」