神様修行はじめます! 其の四

「天内君、早くしたまえ」

「おい里緒、急げ」

「わ、分かってるってば!」


あたしは仕方なく、両腕と両足でツタにガシッとしがみついた。


そしてそのままの状態で、すうっと上に持ち上げられていく。


見た目は、樹にぶら下がるナマケモノそっくりなんだけど・・・。


で、でもこの態勢って結構、いや、かなり大変だよ!? 


腕と足にかかる負担がハンパないー! 


ひょえぇ! ナマケモノって実は全然、怠けてないじゃんかぁ!


「うわ! うわ! 落ちるぅぅ!」


「お嬢様、しっかり掴まって下さいませ。落ちたらそれまでですので」


「そんなあぁぁ!」


半泣きしながら運ばれるあたしに、セバスチャンさんはすごく冷たい。


さすがにホントに落ちた時は、ちゃんと助けてくれるつもりなんだろうけど。


そんでもやっぱり怖い! 高度が上昇するにつれて背中とお尻がムズムズしてきた!


わぁん、やっぱりこの人、敵に回しちゃダメだよ絶対!


あたしは情けない顔をしながら、セバスチャンさんの顔をそっと盗み見た。


セバスチャンさんは真面目な顔で、上の方を見ている。


あたしも視線を上げて、門川君と浄火が運ばれていく様子を見た。


・・・・・・・・・・・・。


それにしても絶妙のタイミングで現れてくれたな。セバスチャンさん。


お蔭で状況が変わってくれて、実は内心、ホッとしてる。


やっぱりあのままじゃ、あたし達3人、すごく気まずかったろうし。


ひょっとしてセバスチャンさん、それを分かってたのかな?

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