神様修行はじめます! 其の四
あたしはとにかく、目の前の存在を理解するので精一杯だった。
いや、あれが何であるかは、さすがにあたしにも一応分かる。
ただ、どうしても信じられないの。自分が見ているこの光景が。
自分の頭がどうかしちゃったんじゃないのか? とさえ思う。
だって・・・だって・・・
目の前で八岐大蛇(ヤマタノオロチ)が大暴れしてたら、普通は自分の頭を疑うでしょ!?
「なんなの!? これーーー!?」
でけえぇぇー! デカさが電車並みのヘビって、なにそれ!?
しかも、八つの頭と八つの尾!
長くてグニャグニャ一杯ありすぎだから、正確に数えきれないけど!
それが洞窟の中でところ狭しと、それぞれ暴れまくってる!
「永久様ーーー!」
ヘビが暴れる音に紛れて、人の声が聞こえた。
これ、マロさんの声!? そうだ、みんなはどこに!?
洞窟の壁際に、結界術に包まれたマロさんと長さんの姿を見つけた。
ヘビの頭のひとつが、巨大なキバで術を噛み砕こうと何度も襲い掛かっている。
「マ、マロさんーー!」
「麻呂は大丈夫におじゃりまする! ですが・・・!」
こっちに向かって叫ぶマロさんの言葉に、あたしは血の気が引いた。
「お岩殿が・・・連れ去られてしまったでおじゃる!」