神様修行はじめます! 其の四

「凍雨殿は、永久様の亡くなった兄上様をご存じでおじゃるか?」


「兄上さま? えっと、確か、永継(ながつぐ)さま・・・ですよね?」



門川 永継。


本来なら、正式な門川の跡取りとなるはずだったけれど。


能力を持たずに生まれてきたため、それが叶わなかった人。



「実は永継様のような、力を持たずに生まれてくる者が、まれに存在するのでおじゃる」


「え? そうなんですか?」


「めったにある事ではおじゃらぬ。非常に珍しいのでおじゃる」


「それと常世島と、なにか関係があるんですか?」


「能力を持たずに生まれてきた者は・・・一族の、恥なのでおじゃるよ・・・」



神の一族は、異形のモノと戦う事こそ存在意義。


なのに、そのための能力を持たない者など、ただの役立たず。


勇猛な自分たち一族の名を穢す、恥さらしの厄介者にすぎない。



それでも、男であるならまだ、力仕事の下働きなど使いようもあるが。


それが女であった場合は・・・悲惨だ。


嫁のもらい手がない。だから子も産めぬ。そんな者は女と呼べぬ。


用は無い。価値も無い。 ・・・要らぬ。



「そこで、邪魔者を一カ所に集めて閉じ込め、管理するのが常世島でおじゃる」


「な、なんなんですかそれ! それじゃまるでゴミ箱じゃないですか!」


「表向きは、力の無い者を戦いから遠ざけ守るため・・・となっておじゃるが」


「うば捨て山と変わりないでしょう!? そんなの言い訳ですよ!」

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