神様修行はじめます! 其の四
仲間の苦しそうな呻き声が聞こえてくる。
顔が上がらなくて確認できないけど、きっとみんなも同じ状態に違いない。
「門川君・・・!」
彼の名前を呼ぼうとしても、声が出なかった。
唇も重くて、ちゃんと動いてくれないから声が出せないんだ。
これじゃ・・・彼は言霊を唱えることができない!
焦るあたしの体の上から、信じられない重みが情け容赦なく圧し掛かる。
全身の筋肉と骨がギシギシと悲鳴をあげた。
内臓が圧迫されて苦しい! 息が、呼吸ができないよ!
「う、お、ああぁぁ・・・!」
あたしは脂汗を噴き出しながら、目を剥いて唸った。
頭蓋骨がメリメリと嫌な音をたてる。
このままじゃ・・・潰・・・れるぅぅ!
「うがああああーーー!!」
しま子の烈しい雄叫びが鼓膜をビリビリ震わせた。
身動きできない視界の端に、変貌していくしま子の姿が見える。
ひと回り以上巨大化して、全身から鋭い棘が飛び出した鬼本来の姿。
苛烈な鬼神の表情と、吐き出される臭気の息。
「ガアァァァァ―――!!」
力を解放したしま子は、圧力を跳ね返すように村人へ向かって進み始めた。
「ひっ!?」「うわあ!?」
村人たちは鬼気迫るしま子に戦慄して、慌てて術を強化する。
ズシッと音がして、しま子の両足が地面に深くめり込んだ。
その場に足止めされたしま子は、それでも全く怯まない。
天を仰ぎ、さらに猛々しい声をあげて力を振り絞る。
「グウオォォォーーー!!」