神様修行はじめます! 其の四
突進したしま子は、足元の固い地面を丸太のような腕で殴りつけた。
砕けた岩盤が、礫となって飛散する。
術を発動していた人達が、雨あられのような石礫を全身に受けて倒れた。
同時に、あたしの体がフッと浮き上がるように軽くなる。
(やった! 術が解けた!)
その一瞬をセバスチャンさんは見逃さなかった。
素早く両手で印を組み、地中から大量のツタを呼び出す。
生き物のように蠢くツタの先端が、すごいスピードで村人たちに向かって飛び掛かった。
よっしゃ行けぇセバスチャンさん!
・・・あ、でも手加減よろしくお願いします!
―― シュウゥゥ・・・
ところが村人達に届く寸前、ツタの勢いがピタリと止まった。
そしてみるみる、全部のツタが萎れて枯れていってしまう。
なんで!? どうしたの!?
―― パーーーン!
激しい音と、目も眩むような強烈な光が宙を走った。
突然しま子の体から白い煙が上がり、ドサッと倒れる。
「しま子!? しま子ーーー!」
連続して走る、強烈な光と耳をつんざく轟音。
その度に、倒れたしま子の体がビクビクと、陸に上がった魚のように大きく跳ねた。
「あたし達の力を思い知ったか!」
女性たちの自慢げな声。
・・・これも神の一族の術!? 雷撃を司る一族の血を引いている人達なんだ!
「ぐうぅ、なんと・・・!」
絹糸が呻き声を上げた。
同じ雷撃の能力。きっとその一族とは、何度も連携しながら共に戦禍を潜り抜けてきたはずだ。
縁の深い一族の血を引く、しかも女性たちを目の当たりにして、絹糸は戸惑い怯んでいる。