神様修行はじめます! 其の四
「ナメくさりやがって・・・」
セバスチャンさんがドスの効いた低音でつぶやいた。
綺麗な両目をギリッと吊り上げ、再び印を組んでツタを呼び出す。
地を大きく振動させながらツタが飛び出し、一斉に女性たちに襲い掛かった。
うわあ! このひとお岩さんを助けるためなら、女相手でも容赦なしだ!
お願いセバスチャンさん! 命ばかりは助けてあげて!
襲いかかるツタは、なぜか今度も見る間に萎れていく。
けど、別のツタがその上から飛び掛かった。
そして今にも女性たちを巻き込もうとした瞬間・・・
「・・・・・・!」
セバスチャンさんの美しくも苛烈な表情が、驚きに変わった。
それと同時にツタの動きがビタッと停止する。
「ボクたちだって負けないぞ!」
「あたしたちもよ!」
・・・・・・!? 子どもぉ!?
子ども達が束になって庇うように女性たちの前に立ちはだかり、術を発動してる!
萎れたツタから、絞るようにジャージャーと水が地面に垂れ落ちた。
これって相手の体内から、水分を奪い取ってるの!?
この子たちは水を司る一族なんだろうか!?
これじゃ植物はもちろん、生き物全部が一瞬で干からびてしまう!
「くそ。どこまで趣味が悪りぃんだよ、あの女は」
セバスチャンさんがギリギリ歯噛みしながら後退した。
さすがに鬼神モードの彼でも、幼い子ども達を相手には戦えない。
そうだ。これは全部、因業ババの計算だ。
あたし達が到底手出しできないような相手を、わざとぶつけてきているんだ。