神様修行はじめます! 其の四
なぜ、自分には無いのだろう?
あいつは確かに持っているのに。
どうしてこの手の中は、こんなにも空虚なんだろう?
どうして!? どうして!? どうして!?
必死に目を凝らして探しても
掻き回しても、ひっくり返そうとも
掘り下げるだけ掘り下げても
なにも、無い。
見つけるのは、カラッポでちっぽけな自分自身だけだった。
そして、痛いほど思い知るんだ。
自分は『持たざる者』なのだと。
目蓋が腫れるほど毎晩、泣いて、泣いて、泣き続けて。
血を吐くほどに渇望しても
祈るほどに切望しても・・・
望むものは全て彼の手の中に有り、自分には絶対に手に入らないのだと。
「気付かなかったろ? 知らなかったろ?」
「戌亥・・・」
「そうだ。分からないんだ。持てる者には分からない」
戌亥はスッと、人さし指で浄火を指した。
「持てる者に、持たざる者の気持ちなど、未来永劫理解できないんだ」
―― ブオォォォッ!
視界一面が、白色に染まった。
ものすごい量の真っ白な羽毛が、まるで吹雪のように空に散る。
それらが一斉に、あたし達に襲い掛かってきた。