神様修行はじめます! 其の四
とっさに目の前で両腕をクロスさせてガードする。
寸でのところで、マロさんの結界が仲間達を覆ってくれた。
結界に当たった羽が、次々と弾き返されて地に落ちる。
残りの羽毛は、唸る音をたてて風を切りながら四方へ飛散した。
羽先に当たった村の建物や柱が、まるでスパッと伐採される様に次々と倒壊していく。
うげ!? どんだけ切れ味シャープな羽なの!?
・・・と思う間もなく、乱れ打ちのような稲光と轟音が空間を占領した。
目も眩む光と爆音の雷撃に、立て続けに集中砲火される。
ギュッと目を閉じ、両耳を押さえ、あたしは結界の中で身を縮こませた。
うわあぁぁ、総攻撃されてる!
マロさんの結界が無かったら、何十回死んでたか分かんない!
「う、ぐぅおぉぉ・・・!」
マロさんが顔を歪ませ、額から汗をダラダラ垂らしている。
無理も無い。島へ来てからずっと休む間もなく、結界術を発動しっぱなしだもの。
もういつ限界がきてもおかしくない。
マロさんの力が尽きてしまったら、あたし達どうなるの!?
自分達が助かるためには、反撃するしかない。
・・・斃すの? 因業ババの思惑に操られている、哀れな村人達を?
女達を? 幼い子ども達を、この手で斃すの?
・・・・・・そんなことできないよ!
それにそんな事してしまったら、門川君の当主としての権威は地に落ちてしまう!
なにより彼は、自分で自分を許せない!
あぁ、いったいどこまで・・・
どこまでクモの糸の罠が張り巡らされているんだ!?