神様修行はじめます! 其の四
バシーンと平手で机をブッ叩き、凍雨くんが叫んだ。
「そんな無法が当たり前に通ってるんですか!? 信じられない!」
凍雨くんの我を忘れた怒りに、お岩さんも塔子さんも同調して叫び散らす。
「まったくですわ! 女をなんだと思ってるんですの!?」
「女だというだけで、自分たちより格下の生物みたいに扱わないで欲しいわよ!」
「ま・・・麻呂に文句を言われても、困るのでおじゃる」
困惑したマロさんが縮こまる。
凍雨くんたちは腹の虫がおさまらぬ、といった顔つきで、揃ってソバを盛大に啜った。
「でもそれなら・・・浄火さんも生まれた時から、苦労してきたんでしょうね・・・」
自分も苦労の連続だった凍雨くんが同情する。
そして急いで言い直した。
「で、でもだからって、結婚話は納得できないですけどね!」
「それにしても信じられぬ。まさか常世島から、能力者が生まれるとは・・・」
絹糸が難しい顔をして、しきりに首を傾げている。
「小娘よ、どうじゃ? やはりあの男の力は間違いなく本物なのか?」
ヒザを抱えたまま、あたしはコクンとうなづいた。
絹糸は「ふうむ・・・」と唸って黙り込む。
みんなもそのまま沈黙してしまって、部屋中に気まずい空気が漂った。
この重苦しい空気が、いかにもあたしの置かれている状況の悪さを物語る。
あたし・・・やっぱりこのまま結婚させられてしまうのかな?
もちろんそれも、ものすごく嫌なんだけど。