神様修行はじめます! 其の四

あたしゃね、人に対していつもそうしてきたんだよ。


ちょいと顔出して、味見して、面白そうなとこだけ美味しくいただいて。


そしてその後は、背中を向ける。


人間と深く関わり合うなんざ、真っ平ごめんだ。


まったく絹糸の気がしれないよ。


人間なんてちっぽけで、うぶなくせして狡猾で、自分勝手なくせに純粋で。


大きな星みたいに目をキラキラさせて、自分の信じる道に向かって、ひた走る。


そして、もがいて足掻いて戦って。


戦って戦って、戦い抜いて・・・・・・


死んでいくんだ。


夢の半ばで、力尽きて。


望むものに手を伸ばしながら、死んでいくんだよ。


そんなもの、誰が見たいと思うもんかい。


見たかないんだよ。ああ、見たくなんか、ないね。


だから・・・・・・


だから、見させないでおくれよ。


人の命の終焉なんて、あたしに見させないでおくれ。



「頼むから、あんたの命をあたしに助けさせとくれよ・・・」


「異形よ・・・」


大量に血を失い、汗まみれの肌の色は青ざめて。


意識が途切れるのか、目蓋を開けることすらも難しくなりながら。


ごぉごぉと低い風鳴りのような荒い息を吐き、長さんは・・・。


にこりと微笑んだ。


「お前に、もっと早く出会いたかった・・・」

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