神様修行はじめます! 其の四
そしてこっちを振り返る。
「待たせたな。行こうぜ、みんな」
「・・・あたしゃ、ここに残るとするよ」
主さんの静かな声にあたしはハッとした。
・・・そんな。主さん、また姿を消してしまうつもりなの?
ひとりぼっちで、沼の底で泣くつもりなの?
「ダメだよ主さん! 一緒に行こうよ!」
「いや、あたしゃここに残るよ」
「主さんを置いて行けないよ! 絶対に一緒に・・・!」
「勘違いしないどくれ。あたしが残らなきゃ、誰が赤鬼の治療をするんだい?」
「へ? あ・・・」
村人たちからの攻撃を受けて、引っくり返って目を回しているしま子。
そ、そうだよ! ぜひともしま子を治療してもらわなきゃ!
でも回復するまでノンビリ待っている余裕はない。
「村人たちにも、ケガ人がいるようだしね。全員あたしに任せな」
「お、お願いします主さん! しま子をよろしくね!」
「マロも、ここに残った方が良さそうにおじゃりまする」
グッタリした顔をして、マロさんが手をあげた。
「情けないことに、限界におじゃりまする。マロが同行しても足手まといになりまする」
「・・・承知した。ではふたり共、この場は頼んだ」
門川君に向かって、主さんとマロさんがうなづいた。
「では皆、我の背中に乗れ」
絹糸に言われ、あたし達は急いで絹糸の背にまたがる。
待っててお岩さん! 今すぐ助けに行くよ!
「・・・飛ばすぞ!」
叫んだ絹糸の体が宙に浮く。
言葉通りに空を駆けながら、あたし達は村を飛び出した。