神様修行はじめます! 其の四
「信子ババ、あんたオレに約束してくれたよな? この島を必ず救ってくれるって」
「ああ、約束した」
「これが、その顛末か?」
「・・・・・・・・・・・・」
「これが、あんたの言う『救い』なのか?」
これは全て、この人が画策したこと。
真っ先に浄火に異形の水を飲ませて、戌亥の劣等感を煽った。
予想通り追い詰められた戌亥は暴走する。
罪の意識にさいなまれた祖母は、その手で孫を殺し、そして・・・自決する。
良質な子孫に執着する蛟の長老の耳元に、甘言を囁いた。
『あなたの子を産むのにふさわしい、命と大地に祝福された美しい娘がいる』
自分の本能に逆らえない長老は、タガを外して狂走する。
お岩さんを狙い傷付けようとする者を、セバスチャンさんは決して許さない。
予想通り、彼はお岩さんを守るために・・・。
「ねえ、ババ。楽しかった?」
全部が全部、自分の計画通りに動いてさ。
周りの人たちが、みーんな思い通りに動いてさ。
楽しかった? 快感だった?
そして望み通り、死んで欲しい人が次々と死んでいってさ。
あんたの気持ち、分かるよ。事情は全部知ってるよ。
それでも・・・ううん。だからこそあたしは聞かずにいられないんだ。
聞きたい。あんたの心を、あんたの口から。
「答えてよ、ババ」
彼女は何も答えない。
うなづくことも、首を横に振ることもない。
ただ、ほつれた黒髪を風になびかせ海を眺めるだけだった。