神様修行はじめます! 其の四

・・・・・・。


門川・・・くん・・・。


『僕の愛する君』 そう言ってくれた。


でもその言葉を告げる彼は、見たことのないほど苛烈な表情だった。


氷と冷気の申し子である彼が、まるで燃える鬼神のごとくに豹変している。


生きることへの、責任の放棄。


確かに彼にとって、許し難いほど最も愚劣な行為なんだろう。


(でも・・・)


あたしは砂に這いつくばって彼を見上げる。


あたしの視界全体に蠢く、数えきれない無数の触手。


ウネウネと蠢きながら、その先端を尖らせて攻撃の狼煙を上げていた。


あたしだって生きたい。


愛する門川君と生き続けて、彼と仲間たちを守り続けたい。


でも・・・できないの。現実にできないの!


望んだこと全てが叶うほど、この世界は優しくなんてないの!


毒が回って弱り切ったこの体にはもう・・・


何の力も残っていないのよ!


―― バサアァッ!


「・・・ぶっ!?」


いきなり顔面に大量の砂が飛んできて、あたしは思い切り顔をしかめる。


門川君が足元の砂を蹴り上げて、あたしにブッかけたんだ。


そして塔子さんにも負けない青筋を、こめかみに浮かべて怒鳴り散らす。


「いい加減にしろ! もう、その情けない顔を僕に見せるな!」


あたしは目の中に入ってしまった砂の痛みに耐え、両目を瞬かせた。


・・・・・・。


・・・ねえ、ちょっと・・・。


さすがにこれ、ひどくない?

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