神様修行はじめます! 其の四

キレた! もう、マジギレした!


僕の愛する君、とかなんとか言っておきながら!


毒で弱ったその「愛する君」に、この仕打ちか!?


身動きできない相手に対して、なんて卑怯なマネしてくれんのよ! この冷血男!


だいたい、よくも草履でそんな器用な足技ができるわね!?


「魔導士系のくせして、ムダに運動神経発達させてんじゃないわよ!」


叫んだ瞬間、怒りのあまり頭にガアッと血がのぼる。


心臓がバクンと音をたて、ドォッと血が湧いた。


熱くなった血が体の中を駆け巡り始める。


生命力が通い始めたようなその感覚に、あたしは戸惑った。


・・・これ。この感覚。


この感覚は、まさか滅火の・・・。


「こっちこそいい加減うんざりだ! まったく君は、なんど同じことを言えば理解するんだ!」


砂まみれのあたしに向かい、門川君は大声で叫んだ。


「良く聞け天内里緒! 僕達は・・・」


そこで息を大きく吸い込み、一気に吐き出し絶叫する。


「そばに居れば無敵なんだよ!!」


その言葉を聞くあたしの目に、あるものが映っていた。


倒れる浄火の体から流れ出た、真っ赤な血。


おびただしい量の血液に、あの、白い液体の異形が混じっているのを。


・・・・・・浄火。


浄火の、体から・・・。


あたしの滅火の能力を奪い取っていた異形が、逃げ出した!

< 635 / 697 >

この作品をシェア

pagetop