神様修行はじめます! 其の四
キレた! もう、マジギレした!
僕の愛する君、とかなんとか言っておきながら!
毒で弱ったその「愛する君」に、この仕打ちか!?
身動きできない相手に対して、なんて卑怯なマネしてくれんのよ! この冷血男!
だいたい、よくも草履でそんな器用な足技ができるわね!?
「魔導士系のくせして、ムダに運動神経発達させてんじゃないわよ!」
叫んだ瞬間、怒りのあまり頭にガアッと血がのぼる。
心臓がバクンと音をたて、ドォッと血が湧いた。
熱くなった血が体の中を駆け巡り始める。
生命力が通い始めたようなその感覚に、あたしは戸惑った。
・・・これ。この感覚。
この感覚は、まさか滅火の・・・。
「こっちこそいい加減うんざりだ! まったく君は、なんど同じことを言えば理解するんだ!」
砂まみれのあたしに向かい、門川君は大声で叫んだ。
「良く聞け天内里緒! 僕達は・・・」
そこで息を大きく吸い込み、一気に吐き出し絶叫する。
「そばに居れば無敵なんだよ!!」
その言葉を聞くあたしの目に、あるものが映っていた。
倒れる浄火の体から流れ出た、真っ赤な血。
おびただしい量の血液に、あの、白い液体の異形が混じっているのを。
・・・・・・浄火。
浄火の、体から・・・。
あたしの滅火の能力を奪い取っていた異形が、逃げ出した!