神様修行はじめます! 其の四
自分のことが原因で、母親が長や戌亥や父親を殺したことも。
島の人々の命を危険にさらしたことも。
この世界を、危うく破滅に導きかけてしまったことも。
それを・・・
それを告げるなんて、あまりにも残酷で・・・。
「どうし、て? どうして、お母さんはまた、あ、あたしを、捨てるの?」
むせび泣く子独楽ちゃんの声を聞きながら、あたしは黙り込んでいた。
足元の砂が涙で潤んで見える。
泣き声が出そうになって、息を吸って耐えた。
でも胸が痛くてたまらない。
ジリジリ焼けつくように痛くて、切なくて破裂しそうで、たまらない。
「お、お父さん、あたしのこと、き、嫌いだって言った。だからいじめるんだって。・・・お、お母さんも、なの?」
激しくしゃくり上げるせいで、子独楽ちゃんのノドが詰まっている。
まともな呼吸もできない状態で、それでも必死に訴え続ける。
「お母さ、ん。お願、だから、お母さんだけは、あたし、捨てな、で・・・」
もう逝ってしまった母の体に、捨てられまいとすがり付く姿が哀れでならない。
答えてくれない母の体を、いつまでも揺すり続ける姿を見ていられない。
我慢できなくて目をつむったら、あたしの両目から涙がポタポタと砂に落ちた。
子独楽ちゃん・・・。
「お母さあぁん。・・・嫌いに、ならないで」
その言葉を聞くのと同時にもう、あたしの心が限界を超えた。
胸の中の悲しみが、音をたてて大きく破裂してしまった。
もう、もうこんなの我慢できない! 黙ってなんていられない!
あたしは泣きながら、子独楽ちゃんの背中を抱きしめていた。