神様修行はじめます! 其の四
これ以上を望むべくもない
翌日の早朝、ようやく朝日が昇り始める頃。
あたしたちは全員で、信子長老の簡単な埋葬を終えた。
長さんや戌亥の葬儀は、日を改めてきちんと執り行うことになっているけど。
信子長老は、長の洞窟のそばにひっそりと葬られることになった。
表立っては手厚く葬れない、いろいろな都合ってやつがあるらしい。
難しいことは、あたしには分からないけど。
でも門川君や絹糸やセバスチャンさんが、よくよく考えた末のことだから。
寂しいけれどたぶんこれが、一番いいんだと思う。
殺風景な景色の中、小さな丸い形の石が置かれただけの、質素なお墓。
その前で子独楽ちゃんが、背中を丸めて座り込んだままずっと離れようとしない。
その後ろ姿を見ると・・・胸が痛んでしかたなかった。
しま子が子独楽ちゃんの隣に並んで、やっぱり大きな背中を丸めて一緒に座り込んでいる。
お墓の前には小さな黄色いお花が一輪、手向けられていた。
どこをどう探してきたものか、しま子が苦労して手に入れて来てくれたんだ。
花がひとつあるだけで、ずいぶんと心が慰められる。
ただの自己満足と言われればそれまでだけど。
でもあたしは心の底から、そんなしま子の優しさに感謝していた。
「里緒、もうそろそろ帰るんだろ?」
「うん」
近寄ってきた浄火に、あたしはうなづいた。
埋葬も終わって、あたし達は急いで向こうへ戻らなきゃならない。
浄火や子独楽ちゃんや、島の人たちのことは気になるけど。
信子長老が向こうに連れて行った、島民達を引き揚げさせなきゃならないし。
子作りマシーンが死んだことも報告しなきゃならない。