神様修行はじめます! 其の四
「お岩さーーーん!」
あたしはお岩さんに駆け寄り、ガバッと飛び付いた。
お岩さんはあたしの体を抱き止め、目を丸くする。
「ア、アマンダ? 抱き付くなら塔子さんでしょう?」
「だって塔子さんに抱き付いたら、赤ちゃん潰れちゃうよぉ!」
「ちょっとあなた! 頭に鳥のフンがついてますわよ!? 鳥のフン!」
「うん! これ、ウグイスのフン!」
「なんでそんな嬉しそうなんですの!?」
「お岩さーん! 大好きだよ!」
「きゃーヤメて! スリスリしないで! フンがドレスにつきますわぁ!」
「放さない! ずっと一緒にいるんだもん!」
ギャアギャア騒いでジタバタ逃げようとするお岩さん。
ますます強く抱き付くあたし。
みんなが声を上げて笑って見ている。
あたしもすごく嬉しい気持ちになりながら、ふと、塔子さんに聞いてみたくなった。
「・・・ねえ、塔子さん聞いていい?」
「ええ、いいわよ。何でもドーンと聞きなさい」
「もしも、もしもさ」
あたしは、お岩さんから腕を外した。
そして真剣な顔で塔子さんと、真正面で向き合う。
「もしも生まれてきた子が、神の一族の能力を持っていなかったら・・・どうする?」
―― シーーーン・・・
賑やかだった場に、一転して沈黙が流れた。
全員、無言であたしと塔子さんを見つめている。
あたしはその視線全部を背負って、塔子さんの目を見つめていた。