神様修行はじめます! 其の四

どうする? 塔子さん。


自分の子が神の一族の能力を持たず、周囲から軽蔑されて。


『この子は持たざる者。こちら側ではない』 と見捨てられようとした時。


「塔子さんは、その時どうするの?」


塔子さんはあたしの真剣な目を、怯むことなく真っ直ぐ見返している。


そしてすぐに口を開いた。


「そんなこと、決まってるじゃないの」


ニィッと唇の片端を上げて笑う、彼女得意の不敵な笑い。


「そんなもの、クソ食らえだわ」


そして口元に手を当て、ほーっほっほっ! と景気よく高笑いした。


それを見たあたしの胸が熱くなる。


熱い喜びが大きく膨れ上がって。


すっごくすっごく誇らしくて。


ちょっぴり涙が込み上げて。


たまらなくなったあたしは、またお岩さんに思い切り抱き付いた。


あぁ、お岩さんもセバスチャンさんも。


信子長老も、長さんも、浄火も、子独楽ちゃんも。


あたし達の全員が、きっと考えたと思う。


『もしも、もっと違った形で生きていけたなら』


・・・それでもあたしは思うんだ。


このあたし達だからこそ、この出会いがあったんだって。


お岩さんとセバスチャンは、この世に生まれて巡り合った。


塔子さんとマロさんが巡り合って、そして新しい命が生まれてくる。


それはやっぱり、これ以上を望むべくもない奇跡の証。


あたし達は今の自分を、正々堂々と受け入れられるって。

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