神様修行はじめます! 其の四
「し、しま子! ごめんーーー!」
「セバスチャン! 止めて!」
慌てて牛車を止めて、しま子が追い付くのを待った。
半ベソ状態のしま子が、ドスドスと飛びつく様に駆け寄ってくる。
急いで中に入れて、お岩さんと一緒に平身低頭、ひたすら謝罪した。
「ごめんね。ほんっっとにごめんね」
「・・・うあぁ~・・・」
「ワザとじゃありませんのよ? つい、うっかりしただけなんですの」
「・・・うあぁ~・・・」
ヒザを抱えたしま子がメソメソ泣いている。
背中を丸めてすっかりスネてしまって、なかなか許してもらえなかった。
いやもう、我ながら呆れるほどひどい。
自分のことで頭がいっぱいで、しま子のことに全然頭が回らなかった。
これじゃあたし、門川君のこと責められないよね。
ごめんなさい、しま子。
「皆様、そろそろ権田原の敷地でございます」
苦笑いをしているセバスチャンさんの声が聞こえる。
見れば、進行方向に美しい里山の春の風景が見えてきた。
遥か向こうの雄大な濃緑の山々。
日の光を反射して銀色に輝く大きな河。
満々と水を張った湖のような水田。
権田原特有の、あのノンビリとした懐かしい香りが漂ってくる。