神様修行はじめます! 其の四

「おう、里緒。散歩に行こうぜ。この辺を案内してくれよ」


・・・・・・ガクッ。


無理をしてでもなんとか前向きになろうと、せっかく努力したとこなのに。


一瞬でその気持ちを萎えさせる顔が、デーンと目の前に立ち塞がっていた。



「浄火・・・・・・」


「ん?」


「あたし、これからお岩さんの看病で忙しいんだけど!」


「でも人手なら充分に足りてるみたいだぞ?」



クイクイと浄火の手が背後を指差す。


なによ? と振り返ると・・・・・・



「岩さま! だ、大丈夫だかー!?」


「門川のモン食って、腹壊したんだって!?」


「だからいつも言ってるべさ! ここの土地以外のモンは、できるだけ口にするなって!」



権田原のおじさん集団が、ドヤドヤ!っと一斉に玄関になだれこんできた。


そしてお岩さんをぐるっと取り囲んでしまう。



「まだ下ってるだか!? 勢い良く下ってるだか!?」


「え、ええ、あの、まあ・・・」


「面会謝絶って聞いたぞ!?」


「一応、重症ということになってますの・・・」


「いったい何を食ったんだ? 生ものか?」



わーわーぎゃーぎゃー大騒ぎ。


心配そうにお岩さんを質問攻めにしてる。


お岩さん重症・・・の噂を聞きつけて、慌てて駆けつけて来たんだろう。


浄火の目の前で本当のことを言うわけにもいかず、お岩さんは困り果てている。


おじさん砦に囲まれて身動きもできない。

< 78 / 697 >

この作品をシェア

pagetop