神様修行はじめます! 其の四
その後はもうずっと一晩中、悔しくて悔しくて悔しくて。
布団の中でずっとギリギリ歯ぎしりし続けていた。
そして朝日がのぼるのをまちかまえるように、真っ先にお岩さんの部屋へ駆け込んだ。
「お岩さぁぁぁん! 聞いてー!」
仮病がバレないように敷かれている布団の上で、お岩さんが目を丸くして振り向く。
「あらアマンダ。お早いですわね。どうかなさったの?」
「あたし・・・悔しいー!」
切々と涙ながらに、昨日の一部始終を暴露する。
お風呂を覗かれた話をした途端、お岩さんの顔からスッと表情が消えた。
無言で布団の上に立ち上がり、すたすた部屋から出て行こうとする。
「・・・お岩さん? どこ行くの?」
「ええ、ちょっと」
「ちょっと?」
「ちょっとあの男、殺害してきますわ」
「ちょ・・・ちょっとぉ!?」
お、お岩さん! そんな正々堂々、ビジネスライクに殺害予告されても困るんですけど!
顔が、まんまゴルゴサーティーンになっちゃってるよ!?
「とりあえず、冷静になって座ろう!」
「・・・そうですわね。わたくしとしたことが軽挙でしたわ」
「そうそう、冷静に冷静に!」
「ええ、冷静に考えれば、殺害の権利はアマンダにありますものね。それが仁義というものですわ」
「お岩さん・・・今度は顔がヤクザ映画になってる・・・」