神様修行はじめます! 其の四
ひとまず座って頭を冷やしてもらって、ゴルゴ状態から脱却してもらった。
冷静さを取り戻したお岩さんが、あたしとしま子の顔を感慨深そうに見る。
「こうして三人でこの部屋で話すのも、久しぶりですわね」
「うん、秋以来だね。冬に来た時は戦いの最中だったし」
「父が亡くなってまだ半年ですけど、色々ありましたわ」
しみじみするお岩さんを見てると、全くそうだなぁって思うよ。
あたしも、じー様が亡くなってから激動の人生だったけど。
お岩さんも負けず劣らず、かなりハイパーな人生送ってる。
里の存亡をかけた戦いで父親を亡くしてしまうし。
本人はまったく想定外だった当主就任。そして門川君との婚約解消。
以来、一生懸命に里を守ってる。
まさに力戦奮闘、金城鉄壁なストーリー。
お互い、年頃の女の子の生活スタイルじゃないよね。
また今回も迷惑をかける事になってしまったし。
「だから言ってますでしょう? むしろ大歓迎だって」
お岩さんはいつもそう言って、笑って苦難を乗り越えるんだ。
本当に優しくて強い女の子だ。そーゆーとこ、あたしも見習いたいな。
「きっと守ってみせますわ。この部屋の中にいれば大丈夫」
お岩さんは力強く請け負ってくれる。
「わたくしは面会謝絶の重病人ですもの。さすがに誰も部屋には来ない・・・」
―― スッパーーーン!
勢い良くふすまが全開になる音が響いた。
お岩さんが、慌てて布団を引っかぶって横になり、病人のふりをする。