神様修行はじめます! 其の四

ひとまず座って頭を冷やしてもらって、ゴルゴ状態から脱却してもらった。


冷静さを取り戻したお岩さんが、あたしとしま子の顔を感慨深そうに見る。



「こうして三人でこの部屋で話すのも、久しぶりですわね」


「うん、秋以来だね。冬に来た時は戦いの最中だったし」


「父が亡くなってまだ半年ですけど、色々ありましたわ」



しみじみするお岩さんを見てると、全くそうだなぁって思うよ。


あたしも、じー様が亡くなってから激動の人生だったけど。


お岩さんも負けず劣らず、かなりハイパーな人生送ってる。



里の存亡をかけた戦いで父親を亡くしてしまうし。


本人はまったく想定外だった当主就任。そして門川君との婚約解消。


以来、一生懸命に里を守ってる。


まさに力戦奮闘、金城鉄壁なストーリー。


お互い、年頃の女の子の生活スタイルじゃないよね。


また今回も迷惑をかける事になってしまったし。



「だから言ってますでしょう? むしろ大歓迎だって」


お岩さんはいつもそう言って、笑って苦難を乗り越えるんだ。


本当に優しくて強い女の子だ。そーゆーとこ、あたしも見習いたいな。



「きっと守ってみせますわ。この部屋の中にいれば大丈夫」


お岩さんは力強く請け負ってくれる。


「わたくしは面会謝絶の重病人ですもの。さすがに誰も部屋には来ない・・・」


―― スッパーーーン!


勢い良くふすまが全開になる音が響いた。


お岩さんが、慌てて布団を引っかぶって横になり、病人のふりをする。

< 89 / 697 >

この作品をシェア

pagetop