神様修行はじめます! 其の四

―― スパーーーン


間一髪、再びふすまが勢い良く開く。


お岩さんが急いで布団に飛び込み、また病人のふりをした。


今度はいったい誰よ? と見れば・・・


「岩さまあ、おはようごぜえますだ」


おじさん軍団が大挙して、部屋の中にゾロゾロと侵入してくる。



・・・・・・あの、皆さん。


面会謝絶の意味、分かってます・・・?



「岩さま。腹のくだり具合はどうだべ?」


「可哀そうになあ。だがオラたちが来たからには百人力だべ」


「オラの女房が作った、特製おじやを持ってきたぞ。岩さま、好物だべ?」


「バカおめえ、腹くだってる時にゃ食えねえべさ」



お岩さんの布団を取り囲み、ワイワイがやがや。


また砦をつくって囲い込んでしまった。


身動きのとれないお岩さんを尻目に、浄火があたしの手を取って引っ張る。



「ほら里緒、身内の集まりを邪魔しちゃ失礼だ。行くぞ」


「またあんたは、そうやって・・・!」


「おーい赤鬼、行くぞ。牛の世話だ、牛の世話」


「うああぁ~」


牛が大好き、牛は友! なしま子が目を輝かせて嬉しそうについてくる。


結局あたしはまた、浄火に連れ去られてしまった・・・。

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