神様修行はじめます! 其の四
そのまま外へ出て、真っ直ぐ牛舎に向かい、牛たちにエサと水を与える。
そして広い場所へ出してやった。
ブラシを手にした浄火が、テキパキと牛の体をブラッシングしている。
あたしはニワトリにエサをやりながら、その慣れた様子をホケッと見ていた。
「・・・あんた、ずいぶん手際がいいじゃん」
「そりゃそうさ。島でも牛の世話してたからな。こんな立派な牛じゃねえけど」
「ふうん・・・」
「島の外は、驚くことばかりだな。そういや、あのデカいカメにもびっくりしたなあ」
「カメ? ああ、伝書亀ね?」
「オレ、あのカメの背中に乗ってここまで来たんだ」
なるほど、それで納得。
なんであんなに早く先回りできたのか疑問だったんだ。
しかしまあ、よくあの伝書亀に乗ろうなんて考えたもんだわね。
そんな発想するの、あたしらぐらいのもんだと思ってたけど。
「あのカメ見たら、乗るしかねえだろ」
当然みたいにして浄火は言うけど。
あたしたちは事情が事情だったから、せっぱつまって乗っただけよ。
たいした理由も無いのに、あれに乗って空飛ぼうなんて考えないって。
普通の神経してるなら。
「やっぱり変わり者ね、あんたって」
そう言ったあたしのお腹が『ぐうぅぅ~』と盛大に鳴った。
やだ、は、恥ずかしい! こら静かにしてよ!
思わず赤面してお腹を押さえる。すると浄火が
「オレもハラ減ったな。よし、朝飯にするか」
そう言って、懐から竹皮の包みを取り出した。