神様修行はじめます! 其の四

縁側に並んで腰かけ、包みを開く。


中身はおにぎりだった。


「梅干しおにぎりだぜ。オレの大好物なんだ。頼んで作ってもらった」


「・・・これ、梅干しおにぎりなの?」


「ああ。さあ食えよ。遠慮すんな」


「・・・・・・・・・・・・」


「なんだよ? どうかしたか?」


「そっか。やっと分かった。あんたって・・・」



あたしのじー様に、そっくりなんだ!


なーんかこいつ、どっかで会ったことがあるような気がずっとしてたんだ!


同じ一族だからかな? って思ってたけど。


それどころか、もっと身近な人物に似てたんだ。



伝書亀を見て、大喜びで飛び乗ったり。


梅干しおにぎりが大好きだったり。


そういやじー様も昔、永世おばあ様のお風呂を覗いて、ぶっ飛ばされてたっけ。


飄々とした態度で、いっつも人に迷惑ばっかり。

なのにどこかで憎み切れない。


うわ、ホントにそっくりだ。もしかしたら、あたし達って近しい親戚同士なのかも。



「里緒のじーちゃんに似てる? オレが?」


「うん、似てる似てる! すごく似てる!」


「ふうん。さぞかし若い頃は色男だったろ? じーちゃん」


「・・・あんた、よく自分で言えるね。そんなセリフ」



なんつーナルシー。

こいつも絶対、カラオケ行ったらマイク放さないタイプだな? 



「ひょっとしてあんたって、大福モチも好物なんじゃない?」


「なんで分かるんだ??」


「ぶっ! そこまで似るか!?」


思わず笑ってしまった。

そんなあたしを見て、浄火も嬉しそうな顔をする。


「・・・初めて笑ってくれた」


「え? なにか言った?」


「いや、なんでもない」


浄火はおにぎりにかぶりついて「うまい!」って言いながら、笑った。

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