泣きたい夜には…~Hitomi~
「ちゃんと野菜も食べるんだよ」
「あぁ」
「風邪ひいたら病院行くんだよ」
「わかってる」
搭乗時間が近づくにつれ、会話が途切れ途切れになってくる。
だから見送りはいらないって言ったのに。
『……航空3便シカゴ行きのお客様は只今より搭乗を開始します。搭乗ゲートにお進みください』
搭乗案内のアナウンスが入った。
「行かなきゃ」
立ち上がり、バッグを手にした。
「元気でな」
慎吾の寂しそうな笑みに、
あぁ、これで2年も慎吾と会えなくなるんだ。
そう思うと、胸が締めつけられ、
「うぅっ、慎吾っ!」
涙が溢れてきた。
「ひとみ?」
困惑した表情で私を見る慎吾。
通りすがりにチラチラ見ていく人もいる。
「やっぱり行きたくない。慎吾といるぅー!」
本当に私って、どこまで面倒くさい女なんだろう。
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