泣きたい夜には…~Hitomi~



『強くなったな。泣かなくなったし』


慎吾の意地悪な声に、


「ここでは泣かないって決めたの!帰国したら2年分大号泣してやるんだから!!!!」


なんて、可愛げなく返すと、


『うーん、そうなるとハンカチだけじゃ間に合わないだろうからでっかいバスタオルでも用意しておかないとダメだな』


慎吾の本気ともとれる言葉に、


ははは……。


苦笑するしかなかった。


『あと半年か……』


「半年だね……」


早く慎吾に会いたい!!!!


私の血中慎吾濃度は枯渇寸前。


チャージしないと、いつ禁断症状が出てもおかしくない。


『待ってるよ』


その一言で1週間は頑張れる。


「うん、待っていて」


そして、冬が過ぎ、フィラデルフィアで迎える三度目の春。


日本に帰国する日が決まり、早速慎吾に報告することに、


『やった!やっとひとみに会える!!!!』


電話の向こうから聞こえる喜びの声とモニターに映る嬉しそうな表情に、自然と笑顔が零れる。



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