泣きたい夜には…~Hitomi~



えっ……


そうなの?


そんなことって、あるの?


ばつの悪い表情の慎吾をじっと見つめて、


「顔、赤いよ」


たぶん私も真っ赤だけど、笑みが零れる。


こんなことなら先に言いたかった、なんて思う私は心底面倒な女……。


慎吾の額に自分の額を押し当てると、


「ひとみ………?」


額を通して慎吾の動揺が伝わってくる。


「悔しいな。先に言われちゃったよ…好きだって…」


もっと早く素直になれば良かった。


今さら後悔しても遅いんだけど。


慎吾は私から体を離すと、


「それ、本当……?」


信じられないといった表情で私を見た。


私は慎吾に笑顔を見せ、大きく頷いて、


「本当よ。私は慎吾に放っておかれたくないの」


私の言葉に、慎吾は安堵の笑みを浮かべた。


どちらからともなく抱き合うと、何度も唇を重ね合わせる。


優しくて、温かくて、甘い…



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