泣きたい夜には…~Hitomi~
その後ろ姿を茫然と見送る慎吾。
さっきまで真っ赤だった顔が青褪めている。
「慎吾?どうしたの?」
顔を覗き込むと、ぎこちない笑みを浮かべて、
「何でもない……たまにはメシ食いに行くか?」
その言葉に、
「うんっ!」
素直に頷き、慎吾の腕に絡みついた。
「私、イタリアンがいいなぁ」
何となく今日はイタリアンが食べたい気分。
だけど慎吾は、
「却下、給料日前だから今日はファミレス!」
バッサリ斬り捨てられた。
「えぇぇぇ!!!?そんなぁぁぁ!!!」
がっかりしたけれど、私も給料日前だったことに気づき、
「勤務医もサラリーマンと同じだから、あんまり贅沢できないのよね。ファミレスもいいけど…そうだ!辻堂のショッピングモールでしらす丼食べたい!ねぇ、いいでしょ?」
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