NENMATSUラプソディ
優菜の休日日記★

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 普通でいいのだ。


 そう普通。イケメンなんか望んじゃいないし、お金持ちでなくてもいい。自分と同じように毎日会社で薄給でこき使われて、また仕事かーとか何とか言いながらそれでも毎日真面目に暮らしている、そんな感じの普通の人が世の中の大半だと思うのに、なぜ縁が無いのだ!

 12月25日の終業後、私は職場の自販機でコーヒーを一缶一気飲みした。

 25歳のクリスマスの為に、去年よりもいろいろと動き回ったはずだ。合コンだって結構頑張った。ストレスで肩が岩みたいになっても、今年こそはと頑張ったはずなんだけど。

 溜め息はコーヒーの味がした。

 お疲れ様、とすれ違う人にいつものように適当に挨拶を流し、会社のビルを出た。外は澄み切った冬の空が広がり、駅までの道はイルミネーションに彩られる。

 クリスマス前の三連休の方がクリスマス的には本番だろう。年末に三連休なんてはた迷惑なだけである。

 早く帰って寝よう。眠れば明日がやってくる。そして365日後のクリスマスに向けて、また作戦を練ろうじゃないか!来年の話をすると鬼が笑うと言うけれど、笑いたければ笑えばいい。


 365日分を考えたら一年分は笑えるだろうが、鬼め!
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