NENMATSUラプソディ

3

　ホストと一日遊ぶというのは最終的にはここまで来るのが正解なんだろうか……いやまさか！まさかここまでは！！


　じゃあこれはいったいどういうことだ！


　と頭の中を二層式洗濯機のごとく、洗濯したり脱水したりしていると、不意に伸びてきた腕が私の体に巻きつく。

　「おはよう」

　甘ったるい声で囁かれれば、確かに朝の挨拶をしなければと私も「おはよう」と返す。

　ホスト氏はするりとベッドから出ると、完璧なスタイルを朝日にさらしながらバスルームと思しき場所に行き、手にはバスローブを持ってこちらに戻ってくる。

　「はい、優菜。これ来てシャワー浴びに行ってきなよ。もう６時になるし、一回家に帰るでしょ？」
　「ああ、うん……」

　こちらは寝起きで頭が回らず、そう言われても思考がまとまらなかったが、今日は師走の平日で普通に出勤しなくてはいけないことがじわじわ思い出された。

　「そうだ！！仕事だ！！」

　と飛び上がろうとしたが、体がきしんで膝をつく。

　「大丈夫？」と全然平気な顔でたたずむパンツ一丁のホスト氏は、今まさにシャツを羽織ろうとしていて、そんな中途半端なカッコでも、イケメンは絵になるなあと思いつつ、昨夜の行状が不意に浮かび上がってきたのであわてて揉み消す。

　心頭滅却すれば火もまた涼し！

　ひとよひとよにひとみごろ。

　すいへーりーべぼくのふねななまがりしっぷすくらーくか。


　無心に数列やら化学式やらを頭に浮かべ、自動操縦で何とかバスローブを羽織りお風呂へ直行。
　髪を洗いながら次は百人一首を端から唱える。