NENMATSUラプソディ
そうして、高級車を見送った。ふう。なにがなんだか。階段をのぼり、部屋のドアを開け、靴を脱いでとりあえずソファに座る……。


 ああああ!!!


 座った瞬間立ち上がる。


 私、ひょっとしたら、昨夜は大変な事をしでかしてきたのではないか!家に帰って冷静になってみれば、なんということだ!!


 恋人でもない男と、しかも会って二回目で、その上ホストと一夜を共にしてきたなんて!!!


 私、馬鹿か!!


 今更ながら、落ち込む……。ほんと、私何やってんの……。しばらく一人で沈んでいたが、部屋のアラームが鳴り響けば、体は常の習慣を思い出す。

 そう、いつもの目覚めの時間。とりあえず、着替えて化粧して、朝ご飯を食べねば!!





 年末の忙しさもだいぶ落ち着き、仕事と言ってもあとは掃除や雑事をするだけ。

 ばたばたと動き回りながら、ばかばかという単語が頭を巡回している。
 いや、もうね、いくら馬鹿と言っても仕方がない。もう会わないしな。向こうだって物の数には入るだろうから、満足したろう。

 せっかくさわやかな気分で今年を終えられると思ったのに、こんな大失態が許されるだろうか……。

 いや、やめよう!もうこの件について考えるのはやめようと思ったばかりじゃんか。

 よし、やはり今年も、年末年忘れ百本ノックとかやるか。友達や同僚と飲んだところでこの気持ちは解消されない。ならば心身を鍛え、精神を統一するにはやはりバッティングに尽きる。これしかない。

 飲み会のお誘いも、また来年という言葉つきでお断りし、私は足早にバッティングセンターへと向かう。

 ブーツを履いていても指先から冷えていくが、100本も打つ頃にはコートもいらぬほどホカホカしているだろう。

 冷たい風を切って、ポケットに手を突っ込み、マフラーに顔を埋めながら駆け出すように歩く。あちこち痛いが、運動は得意だからな。この程度の筋肉の痛みなど、すぐに消滅させてやるう!それからいろんな記憶とか!!
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