NENMATSUラプソディ
 「実はさ、クリスマスのイベントの時に、ビンゴ大会の景品で出張ホスト券というのを出したんだけど」
 「出張ホスト券?」
 「そう。まあいわゆる同伴的な奴でさ、店に戻らなくてよくて、数時間店の外で恋人役をやるっていう」
 「へえー!」
 「ま、そんなことでさ、店としては店員にはそれぞれ売り上げっていうものがあるし、外で歩いている場合じゃないわけよ」
 「……え、俺?」
 「そー!!!お前なら接客に不安はないし、店の人間じゃないから売り上げ気にしなくていいし!見習いみたいのを使ってもいいんだけど、やっぱその辺は不安で店の評判下がっても困るし。景品でもちゃんとやりますってところ見せたいし」 
 昔からこいつは人使い荒かった、ということを今更思い出した。

 「頼む!!!今度レベル高い女の子いるとこ連れてくから!!」

 いや、それはお前の営業だろうという言葉はとりあえず飲み込んだ。

 「具体的に何やんの?」
 「おお!引き受けてくれる?時間は6時から12時まででさ、適当に酒飲んで話聞いてちょっと付き合ってやればいいからさ!飲み食い代は向こうが出すし」
 「ふ-ん、わかった」

 ま、何事も経験だからな。
< 3 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop